2017-03-18

書籍 ElasticSearch Server と Elasticsearch 5.2

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業務で Elasticsearch をやっていくことになったので、一通りわかっておきたいと思って、いわゆる「緑の本」を買って読みました。

高速スケーラブル検索エンジン ElasticSearch Server (アスキー書籍)
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2014-03-25)
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Elasticsearch の利用と運用において知っておいたほうがよいことをまんべんなく知れる良書なのですが、書籍の対象とする Elasticsearch のバージョンが古いため、公式ドキュメントと突き合わせながら読んでいます。 Elasticsearch も公式ドキュメントが充実しているので良いですね。 本をインデックスとして、公式ドキュメントを読んで理解してくのがよいと思います。

いくつかサンプルがそのまま動かないパターンがあったりしたので、メモを書き残しておきます。この本を読む方の参考になれば幸いです。

ローカルで Elasticsearch を動かす

まじめに Java からインストールするのはだるいので、Docker を使えばらくちん。7 章あたりでは適当に docker-compose.yml を書いてクラスタを組んで実験するのもよいでしょう。

# docker run -d -p 9200:9200 elasticsearch

検索 API の差異

スクリプトの差異

2.3.6 で紹介されている検索時の script は、5.2 のデフォルトの Painless でそのまま動かない。Painless での _source に対するアクセスに関する議論は GitHub の issue でされている。

ワークアラウンドとして params._source_source にアクセスできるが、非推奨っぽい。そもそも集計時に _source を使うべきではないという意見もあったりして、将来どうなるかわからない。

動く Painless 版のサンプルとしては以下のような JSON になる。

{
  "script_fields": {
    "correctYear": {
      "script": {
        "inline": "params._source.year - params.paramYear",
        "params": {
          "paramYear": 1800
        }
      }
    }
  },
  "query": {
    "term": {
      "title": "crime"
    }
  }
}

Search Type, Preference の差異

https://www.elastic.co/guide/en/elasticsearch/reference/current/search-request-search-type.html のドキュメントによると、search type が query_then_fetchdfs_query_then_fetch だけになっている。

また、custom value 以外の preference の種類も増えている。_replica_replica_first など。 https://www.elastic.co/guide/en/elasticsearch/reference/current/search-request-preference.html

terms クエリの minimum_match

2.4.2 で紹介されている terms クエリの minimum_match は使えなくなっている。代わりに bool クエリを使う。こんな感じかな。

{
  "query": {
    "bool": {
      "should": [
        {
          "term": {
            "tags": "novel"
          }
        },
        {
          "term": {
            "tags": "book"
          }
        }
      ],
      "minimum_should_match": 1
    }
  }
}

削除されたクエリ

2.4.6 で紹介されている field クエリは削除されている。代わりに基本の query_string クエリを使う。

また、fuzzy_like_this および fuzzy_like_this_field クエリも削除されている

more_like_this クエリは使えるが、more_like_this_field クエリは削除されている。

fuzzy クエリ

2.4.11 で、どのくらいファジーに検索するかを指定するのに min_similarity を使っているが、fuzziness で指定する。本に出てきている例のように cirme でひっかけたければ、以下のように明示的に fuzziness2 に指定する必要がある。

{
  "query": {
    "fuzzy": {
      "title": {
        "value": "cirme",
        "fuzziness": 2
      }
    }
  }
}

フィルタの利用

2.5.1 でフィルタの利用法が解説されているが、filtered クエリは削除されて bool クエリに置き換えられるので、以下のように mustfilter を使うようにしなければならない。

{
  "query": {
    "bool": {
      "must": {
        "query_string": {
          "fields": [
            "title"
          ],
          "query": "Catch-22"
        }
      },
      "filter": {
        "term": {
          "year": 1961
        }
      }
    }
  }
}

ref. https://www.elastic.co/guide/en/elasticsearch/reference/5.1/query-dsl-filtered-query.html

また、2.5.2 の例も以下のように bool を使う必要がある。他の例も同じように書き換えれば動く。

{
  "query": {
    "bool": {
      "filter": {
        "range": {
          "year": {
            "gte": 1930,
            "lte": 1990
          }
        }
      }
    }
  }
}

また、missing クエリは削除された ので、must_notexists を否定するようにして書く必要がある。

{
  "query": {
    "bool": {
      "must_not": {
        "exists": {
          "field": "year"
        }
      }
    }
  }
}

2.5.5 の script フィルタはこんな感じになる。

{
  "query": {
    "bool": {
      "filter": {
        "script": {
          "script": {
            "inline": "params.now - doc['year'].value > 100",
            "params": {
              "now": 2013
            }
          }
        }
      }
    }
  }
}

limit フィルタも削除されているので、以下のように terminate_after パラメータを使う。

{
  "query": {
    "match_all": {}
  },
  "terminate_after": 1
}

3.1.6 の structured_data.json

トップレベルが book では意図しないドキュメントが生えるので、以下のような JSON を食わせないといけない。

{
  "author" : {
   "name" : {
    "firstName" : "Fyodor",
    "lastName" : "Dostoevsky"
   }
  },
  "isbn" : "123456789",
  "englishTitle" : "Crime and Punishment",
  "originalTitle" : "Преступлéние и наказáние",
  "year" : 1886,
  "characters" : [
   {
    "name" : "Raskolnikov"
   },
   {
    "name" : "Sofia"
   }
  ],
  "copies" : 0
}

required_field_match のデフォルト値

required_field_match のデフォルト値は true になっている (書籍中では false であると説明されている) ので、ナイーブにハイライトをセットすると、検索に引っかかったプロパティのみがハイライトされる。

mapper-attatchments プラグインは非推奨

mapper-attatchments プラグインは非推奨 となっているようなので、ingest-attachment plugin を使うと良い。

トークナイザ・フィルタ

  • engramedge_ngram に改名されている。

boost に関連する query DSL の違い

  • Function Score Query の各 function の中でのブースト値は boost_factor ではなく weight を使う

nodes info API, nodes stats API の仕様変更

以下のようにしてノードの情報を取得できるようになっている。

$ curl 'http://localhost:9200/_nodes/foobar/os,jvm'
$ curl 'http://localhost:9200/_nodes/foobar/stats/os,jvm'

そのた

  • インデックス作成のための API が POST メソッドではなく PUT メソッドに変わっている
  • デフォルトの設定ではストップワードの省略を行わない
  • river plugin は廃止
  • More Like This API は廃止